精神医学日記

理解が困難であった精神科の多くの病気をわかりやすく一元的に説明します

精神科の全体像

それではまず最初に精神科に来る人たちはどんなひとがいるのかの全体像を見てみようと思う。

ひとつひとつを見る前に全体像を見る事は何事においても非常に重要である。

地図を見るときも新宿区の地図だけをみていて次に博多の地図をみてとやっていても日本については理解できないだろう、まず最初に世界地図をみて日本地図をみてそれで新宿区の地図をみることで全体のバランスがわかるようになる。

それと同じなのだ。

そしてそれは特に精神科においては重要なのである。

なぜかというと精神科は非常に道に迷いやすいのだ。その理由として精神科の病気の概念とは実に曖昧なもので数年に一度診断基準が変わる珍しい科でもある。

地図で例えるならば数年に一度道やお店が変わるようなものである。新宿区のようなものなのだ。新宿区はお店がよく変わる。すぐにつぶれる。だから数年前の地図では役に立たない事が多い。

精神科は新宿区のお店がよく変わるように診断名が数年に一度変化したりするのである。それぐらい曖昧なものなのである。

具体的にはその精神科の診断基準は主にDSM-Ⅳというものを現在使っているがその前はⅢであり数年後にはDSM-Ⅴが出るのである。ⅣからⅤで診断基準や病名が大きく変わるものも少なくない。ドラクエより早い頻度で次回作が出るのである。

これは患者のみでなく専門家でさえ混乱してしまう。

特にアスペルガーなどの発達障害の概念は最近出てきたものであり、1990年ぐらいから徐々に知られてきている。
それ以外にも非定型精神病や非定型うつ病自己愛性人格障害など様々な病気の概念が現在の精神科内ではみられる。
専門家でも多いなあと感じるぐらいなので、専門家じゃない人はよくわからないという事は当然なのである。

個々の病名を覚えていてもそれが変わってしまったりかぶってしまったりしていて全くもって理解できないのだ。

星座にいろんな人が好き勝手名前をつけているようなものである。

 

そこで今回は全体像についての概念を説明する。

以下の4つに分けて考えると非常にすっきりし、これで大体すべてが理解できるのである。これはクルト・シュナイダー(Kurt Schneider, 1887年1月7日 - 1967年10月27日)による概念でもあり現在でも非常に有用である。つまり精神科界の世界地図なのだ。汚い字で恐縮であるが見て欲しい。

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この4つである。それではそれぞれについて説明していく。

①器質疾患

器質疾患とは脳に直接明らかな障害がある場合である。
例えば、脳が変性していくアルツハイマー病、HIV脳症、脳外傷などがある。
これは②~④で出現するような症状はすべてでてもいい。

②精神病

これは主に統合失調症非定型精神病の事であり、妄想や幻聴など一般的なロジックでは了解不能な症状がある。
「了解不能」という言葉がキーワードである。
これは③から④の症状が含まれていてもよい。

気分障害

これは鬱病躁鬱病、非定型うつ病などが含まれる。気分の波が極めて大きく日常生活にも支障をきたすが了解不能ではない。
そこが②との違いである。
これは④が含まれてもよい。

④神経症

これは摂食障害強迫性障害人格障害が含まれる。③ほど気分の波が多くはない。
これは①から③までの症状が含まれてはいけない。

以上の4つに分ける事が精神科の分類を理解する第一歩である。
分からなくなったらまずこの4つの視点で考える事が大事なのである。
また、①から④に分けてある理由は、
①は②から④の症状を含んでもよく、
②は③から④の症状を含んでもよく、、
となっているからである。

つまりまず①を考えて次に②を考えてそして③を考えてどれでもなければ④である。と考えるのである。

これが精神科で扱うものの全てである。

まず困ったらここに立ち戻る事が重要である。そしてこの4つのどれかに当てはまるかわかるだけで大きな失敗はなくなる。

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