精神医学日記

理解が困難であった精神科の多くの病気をわかりやすく一元的に説明します

精神科の錬金術

さて、前回精神科で扱う領域を4つに分けた。

①器質疾患

②精神病

気分障害

④神経症

である。

この4つの中で①から③までは比較的簡単である。

①は感染や怪我などわかりやすい理由があるし、②は統合失調症のみ考えればよく③はうつ病躁うつ病を考えればよい。

これら3つには何の迷いもない。

問題は④である。

ここが最近の精神科問題が生じている根本であり、ここを理解する事が非常に困難なのである。

ここには発達障害やらパーソナリティー障害やら強迫性障害やらパニック障害やらいろいろなものがものが詰め込まれている。

そして同時にここにいる人たちはひと昔前ならば「病気ではない!」と言われていた人たちでもある。

病気でないと言われていた人達にどんどんと病名をつけていく。ここが精神医学の錬金術の源となっているのだ。

つまり昔ならば病気でなかった人達にどんどんどんどんと病名をつけていったところなのだ。

ここで錬金術と述べた理由はなぜかというと、病名をつける事で薬投与が可能となりそのために診察料、処方料ととる事が可能になるためそういうふうによぶ。

 

ここで勘違いして欲しくない事は病名をつける事が一概に悪い事ではないのである。

④の人たちはすごく苦しんでいる。

だからこのように病名をつけてその苦しさに市民権を与え少しでも快適に暮らしていけるようにする事はとても大切な事なのである。

 

問題はその本質が理解されていない事なのである。

 

それゆえに病名が散乱してしまい同じ症状に対してアスペルガー症候群であったり境界性パーソナリティー障害であったりと様々な病名がついてしまう事がある。

 

内科の病気ならばそれは極めてまれな事なのだ。

例えばインフルエンザと癌が同時に見つかった場合は偶然の一致として考えそれらがかぶる確率は単純に

 

インフルエンザの発症確率×癌の発症の確率

 

で計算できる。

しかし、精神科の場合は全く違う。アスペルガー症候群であったり境界性パーソナリティー障害であったりと同時に病名がつく場合は極めて多くそれらは同じ状態をみて言っているのである。

 

アスペルガー症候群×境界性パーソナリティー障害

 

ではなくてどちらかというと

 

アスペルガー症候群=境界性パーソナリティー障害

 

なのである。

なぜこのような事が起こるのであろうか。

 

それは精神医学が現在起こした錬金術によるものなのである。

好き勝手病名をつけたがために両者にかぶっている部分が生じてもそれを放置していたために起こってしまったのだ。

そしてその本質的な部分が一切理解されていないのでなんでかぶっているのかが理解されていないのである。

それゆえ診断名がかぶったしまった際にも、なぜかぶっているのかが理解されずそれに対してどうしてそのような診断名になったか病院やクリニックにおいてでも医師から十分な説明がされていない。

なぜならば医師ですらその多様されてしまった病名と本質を理解していないのである。

それゆえ病名をつけてそれに合わせた投薬をたくさん行い薬漬けになるといった事が起こる。

 チェックリストをみて機械的に診断名をつけてしまっているのだ。

 

急激に起きた精神医学界の錬金術。

それによって専門家でもほぼ理解されていないその本質。

それゆえ困惑する患者。

 

しかし、患者は辛いと感じているため病院から抜け出す事ができない。

 

それに対して遷延する無意味な診察と処方。

 

この大部分はその病名の本質を理解することで解決できると思っている。

そしてその本質は知ってしまえばそんなに難しいことではなく専門家でなくても十分理解できるものなのである。

よってこのブログは専門家のみならず患者そのどちらに対しても有用であると考えている。