精神医学日記

理解が困難であった精神科の多くの病気をわかりやすく一元的に説明します

はじめに

どうもノスモです。

精神科医をほそぼそとやっています。

最近、精神科界では患者数が急激に増えている時期でもありそれとともに正しい知識が得にくくなっており色んな情報が錯綜する時代となっている。

具体的には厚生労働省の統計の患者数でいうと1996年には180万人であったものが2008年には280万人と10年ほどで急増している。

それにはいくつか理由があり、もちろん精神科にかかる事自体の敷居が下がったという事もあるとは思うのだが、まずはなんといっても病気が増えたという事につきると言える。

例えば最近はやりの仕事の時に落ち込んで週末は元気になる新型うつ病をはじめとするうつ病患者の急増。

みなさんの職場や学校にもうつ病で休んでいる人は増えているのではないだろうか。

さらには自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群など)やADHDなどの発達障害の概念の発生といった具合にである。

自閉症スペクトラムという概念はWingの研究によって1979年に生まれた非常に新しい考え方なのだ。

最近こども相談をやっていても「自分のこどもがアスペルガーなんではないでしょうか?」といった相談が相当多い。

しかし、その大部分が全く違うか特に心配する必要がないのだ。

それではなぜこのような事が起こるのであろうか?

その答えはこれに限る、

 

精神医学の知識が全く浸透していない

 

という事なのだ。

うつ病アスペルガー、境界性パーソナリティー障害などなどこれらの病名だけが先行し様々なネットのチェックリストだけをみて自分や子供が当てはまるのではないかと心配する。

そして病院に駆け込み、医師も時間がなくじっくり診察できず薬の処方をちょいちょいと行う。そしてなぜか薬漬けになって自分のよくしたかった部分は何も変わっていない。

これが現在の精神科界の抱える大問題なのである。

 

しかし!!そうは言うものの・・・

 

中学、高校でも精神医学を学ぶ授業などもやっていないし本を読んでもよくわからない。さらにはあまりにも病名が増えているため専門家さえもなかなか理解しきれておらずあやふやに診断をつけてしまう場合が多い。

それゆえ、患者さんの中にはこういう経験はないだろうか?

 

「なんかこっちの病院では境界性パーソナリティー障害と言われたけど、別のところに言ったらうつ病と言われたり双極性障害と言われた。私ってなんなの?何が正しいの?」

 

そこでこのブログでは少しずつ精神科疾患の本質を説明していきたいと思う。

そこを理解すれば、「ああ、私はいろんな病名つけられたけどその理由はこうなのね」とわかるようになるし、病気の本質を理解すれば自分が苦しんでいる時に「あ、これは自分の気持ちの中でこういう事が起こっているんだ・・だから苦しいんだ」と客観的に理解ができるようになる。

客観的に理解できるようになると自分で考えの修正ができ対処できるようになる。そうすると症状が徐々に和らいでくるようになる。

つまり正しい病気の理解はどの薬よりも効果があることが少なくない。

それではこれまでほとんど知られていなかった精神科疾患の本質について少しずつみていこう。

 

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